こんにちは!
つくしです
みなさんご存知、ワイヤレスマイク。
とても便利な機材ですよね^^
このマイクがなければロケは成立しない!
と言えるほど重要な機材です。
でも、後輩に質問されたら、
このマイクについてしっかりと答えられますか?
そんなわけで、
今回は、ワイヤレスマイクの概要です!
種類や用途について、ひとつづつ見ていきましょう。
目次
ワイヤレスマイクとは?
ケーブルのないマイクです。
えっ!?というほどあたりまえですが、このケーブルのないという点がとても重要です。
音を録音する場合、有線マイクを使用することが安心で確実ですが、
- ケーブルを気にせず動きのある収録
- 有線マイクでは音源にとどかない
という状況で使用されるマイクです。
冒頭で書いたように、ワイヤレスマイクがなければ、ロケが成立しないと言えるほど必要不可欠でとっても便利なマイクです。
しかし、
当然リスクもあり、
- 混信
- 電池切れ
- 送信機水没(破損)
などがあげられます。
どれも即NGの条件なので、便利な反面、予備などの対応策を必ず用意しておかなければならない機材と言えます。
特に水没は要注意です!
音声スタッフは、そんなワイヤレスマイクのメリット、デメリットを把握して使わなければなりません。
というわけで、有線マイクとワイヤレスマイクを比較して覚えておきましょう。
有線マイクのメリット
- 音質の安定
- 遅延がない
- 同時使用数の制限がない
- ワイヤレスマイクより安価
有線マイクのデメリット
- 録音範囲が限られる
- 動きに限界あり
- ケーブル断線
- ケーブル動線の確保
ワイヤレスマイクのメリット
- 受信範囲内の動きに対応
- ケーブル動線確保の必要なし
- マイク外の断線がない
ワイヤレスマイクのデメリット
- 混信の可能性がある
- 同時使用数の制限がある
- 電池切れの可能性がある
- 送信機水没などのトラブル
- 遅延
どうですか?
撮影形態、音源は何か?にもよりますが、このふたつのメリット、デメリットをしっかり把握してプランニングしましょう。
便利な機材ほど、使えなくった瞬間に頭の中が真っ白になります(思い出します)。
不測の事態を常に想定して、予備は必ず用意しておきましょう!
それでは次に、
ワイヤレスのしくみから、アナログワイヤレスとデジタルワイヤレスについて見ていきましょう。
わかりやすいワイヤレスのしくみ、アナログとデジタルのメリット、デメリット
ワイヤレスマイクには、アナログとデジタルがあります。
どちらもメリットとデメリットがあって覚えておかなければならないのですが、
その説明の前に予備知識として、少しワイヤレスのしくみを知っておきましょう。
え!難しいやつ!
って思わないでください。
大丈夫です。
後輩に聞かれてサラッと答えられるくらい、わかりやすくしてあります。
“こんな感じ” 程度で、覚えておきましょう。
ワイヤレスのしくみ
ワイヤレスはご存知、送信機と受信機がありますね。
もちろん、送信機から受信機に信号を送るわけですが、
マイクで録った音をそのまま飛ばしていては、複数ワイヤレスマイクが近くにある場合、すべてを受信してしまいます。
どの音がペアの音だかわからなくなってしまいますよね^^;
なので、
まずは、ペアの送信機、受信機間で、無音の基準信号を決めなければなりません。
それが、準備の時に設定する周波数ですね!
1グループの1チャンネル
(806.125MHz)
1グループの2チャンネル
(806.375MHz)
などがそうです。
「搬送波」「キャリア波」と呼ばれるものですね。
そして、この無音の基準信号に、ワイヤレスマイクの音を合成して飛ばします。
「変調」と呼ばれる作業ですね。
受信機はこの合成信号を受け、最初に設定した、無音の基準信号を引き、現場の音を取り出す。ということです。
どうですか?
難しくありませんよね^^
つづけます。
そして、この無音の基準信号に、
アナログ音が合成されれば、
アナログワイヤレス
デジタルに変換された音が合成されれば、
デジタルワイヤレス
となるのです。
?!
ここで気づいたと思いますが、
デジタルワイヤレスの音は、飛ばす前にデジタルに変換され、当然そのままでは元の音ではないので、受信してからまたアナログに変換されます。
二度、変換という作業が入るんですね。
そのため、アナログワイヤレスより受信機から出てくる音は、遅れます!
二回も作業が入れば当然ですよね。
また、これらの変換 変調の都合上、
アナログワイヤレスは、
受信状況が悪くても、音質は悪くなりますが聞こえる。
という特徴を持ち、
デジタルワイヤレスは、
受信状況が一定のレベルをこえると、途切れる。
元のアナログ信号に戻すことができず、無信号になる。
という特徴があります。
連続するアナログ信号の粘り強さと、0か1というデジタル信号の性質の差ですね。
以上が簡単なワイヤレスマイクのしくみです。
これらの点を踏まえて、
メリットとデメリットを見ていきましょう。
アナログワイヤレスのメリット
- 遅延がない
- 受信感度が悪い場合でもノイズは多くなるが聞き取れる
- チャンネルを合わせれば受信可能
- 連続使用時間が長い
アナログワイヤレスのデメリット
- 音質、ダイナミックレンジ共にデジタルに劣る
- 同時使用チャンネル数が少ない
- 混信の可能性が高い
- 直線通信距離が短い
- 送信機を触らなければ設定を変えられない
デジタルワイヤレスのメリット
- 高音質
- 同時使用チャンネル数が多い
- 混信の可能性が低い
- 直線通信距離が長い
- 受信機から送信機の設定を変更できる(機種による)
- ペアリング機能によるセキュリティー面
デジタルワイヤレスのデメリット
- 受信感度が一定以下のなると音が途切れる
- 電池の消費がはやい
- 遅延
アナログは、
音の受信感度が悪くなってもノイズは多くなるが聞き取れる。
という安定感や遅延のない点は、収録形態にもよりますが大きなメリットと言えます。
デジタルは、
一定の受信感度になると電波が途切れる。
など特有のデメリットはありますが、それ以上にメリットの多い方式と言えますね。
ワイヤレスの区分、種類
ワイヤレスマイクは、周波数で区分されていて主に、
- A型
- B型
- C型
- 2.4G
となります。
「ケーブルのいらないマイク」というひとくくりではなく、それぞれ周波数できっちり守備範囲が決まってるんですね^^
ちなみに、用途もこの区分で違います。
それでは、ひとづつ確認しましょう。
A型ワイヤレスマイク
使用周波数帯域は、
470〜714MHz 1240〜1260MHz
A帯や特定ラジオマイクなどと呼ばれます。
A型ワイヤレスマイクは必ず。
- 陸上移動局の無線免許
- 運用連絡
- 運用調整
以上の手続きが必要です。
主に、
コンサート、イベント、番組収録など、業務用プロ機器として使われます。
また、コンサートなどのイヤーモニターにも使用されます。
上記の区分、呼び名の中で、さらに分類されます。
ホワイトスペース帯
周波数 | 470〜710MHz |
空中線電力 | アナログ:10mW以下 デジタル:50mW以下 |
形態 | 固定型 可搬型 |
同周波数を利用するシステム | 地デジTVエリア放送 災害向け通信システムなど |
備考 | チャンネルリストに記載された場所、周波数で運用 |
特定ラジオマイク専用帯
周波数 | 710〜714MHz |
空中線電力 | アナログ:10mW以下 デジタル:50mW以下 |
形態 | 固定型 可搬型 移動型 |
同周波数を利用するシステム | なし |
備考 | TV52ch使用地域は、711〜714MHzで運用。その他全国で運用可能 |
1.2GHz帯
周波数 | 1240〜1260MHz |
空中線電力 | アナログ:50mW以下 デジタル:50mW以下 |
形態 | 固定型 可搬型 移動型 |
同周波数を利用するシステム | 各種レーダー FPU(テレビ放送用無線中継システム)など |
備考 | 全国で運用可能 |
- 固定型
ホールなどの施設に特定ラジオマイク機器を常設し、日常的に運用する形態 - 可搬型
ホールなどの施設に特定ラジオマイク機器を持ち込み、運用する形態 - 移動型
ロケなどで特定ラジオマイク機器を移動しながら運用する形態
100%混信がないとは言い切れませんが、ワイヤレスマイクの中で最も混信の可能性が低いと言えます。
以上が、
A型ワイヤレスの守備範囲です。
そのほかも見ていきましょう。
B型ワイヤレスマイク
使用周波数帯域は、
806〜810MHz
B帯やB型などと呼ばれます。
陸上移動局の無線免許、運用連絡、運用調整の必要はありません。
購入、レンタル後すぐ使用することが可能です。
番組収録、イベント、ホール音響、イベントなどプロ〜一般ユーザーまで幅広く使用されます。
誰でもすぐに使用できる為、混信の可能性が高いと言えます。
しかし、そのような場合でもチャンネル変更などの対策をして使っています。
最も出回っているワイヤレスマイクです。
C型ワイヤレスマイク
使用周波数帯域は、
322MHz
C帯やC型などと呼ばれます。
陸上移動局の無線免許、運用連絡、運用調整の必要はありません。
購入、レンタル後すぐ使用することが可能です。
会議室、演説など音質を気にせず必要最低限の明瞭度で運用されるワイヤレスマイクです。
また、遮蔽物などがあっても回り込みの性質に優れている。という特徴を持っていて、送り返し(エアモニター)などにも使用されます。
2.4G帯
使用周波数帯域は、
2.4GHz
2.4や2.4Gまた『IMSバンド』などと呼ばれます。
陸上移動局の無線免許、運用連絡、運用調整の必要はありません。
購入、レンタル後すぐ使用することが可能です。
多目的施設やPAなどで使用されています。
【IMSバンドとは】
Industrial,Scientific and medical band の略称
産業 化学 医療の頭文字で、これらの機器が免許不要で自由に利用できるように開放されている帯域。
Wi-Fi、Bluetooth、アマチュア無線、電子レンジと同じ帯域なので、これらが使われている場所で混信の可能性があります。
受信機の形状
受信機には設置型とポータブルがあります。形状は異なりますがどちらも同じ受信機です。
設置型
設置型は、主にホール、多目的施設など、移動のない環境で使用されます。電源は、ACコンセント駆動。
ポータブル
ポータブルは、主にENGなど移動のある現場で使用。電源は、電池駆動。
A型ワイヤレスマイク購入の流れ
- 購入機材の選定後、特定ラジオマイク運用調整機構へ連絡
- 送られてきた必要書類(入会申込書 免許申請関連)を記入、特定ラジオマイク運用調整機構へ返送。免許が交付されるまで約1ヶ月必要
- 無線局免許状・会員資料が送られてきます。(この時点から特定ラジオマイクを使用できます)
- 必要費用が請求されます
特定ラジオマイク運用調整機構はこちら
特定ラジオマイク(A型)に関するよくある質問はこちら
A型ワイヤレスマイクの新規加入から運用開始までの費用(購入使用)
特定ラジオマイク運用調整機構 入会金
20,000円 / 1加入
※常置場所ごとに1加入を原則
特定ラジオマイク運用調整機構 年会費
48,000円 / 1加入1年
※新規加入初年度は月割り
運用調整費
※新規加入初年度は月割り
固定(マイク1局) | 900円(税別)/ 年 (全周波数帯) |
移動(マイク1局) |
|
免許申請書類等取扱費
5,000円(税別) / マイク1局
※特ラ機構事務局の書類作成及び申請費用
新設免許申請手数料
2,550円 / マイク1局
※国に納める手数料(印紙代)
以上
2020年4月現在 詳しくはこちら
あとがき
以上、種類や用途、運用に関して様々な条件やメリット、デメリットがあります。
これらを総合し、仕事に合うワイヤレスマイクを選びましょう。
例えば、
ワイヤレスの種類を選択する場合は?
の場合、
一般的なENGのであれば、
まず使用される機材は、免許や運用調整の必要がないB型やC型です。
その中で音質上業務用で使われるのはB型です。
その上で、B型の最大使用数7波を超える場合であれば、A型(特定ラジオマイク)を購入またはレンタルして使う。という流れです。
B型は7波も使える!
と言っても、ここで注意です。
撮影現場近くで(例えば現場の施設で)B型が使用されていたら当然最大数は使うことができませんね。
街をぶらぶら歩くロケで、そのルートにワイヤレスを使っているお店がある。
ということもあります。
この場合もB型で足りない場合は、A型(特定ラジオマイク)を使う状況になりますね。
こんな感じで、ワイヤレスの種類、波数を決めるだけでも様々な情報が必要になってきます。
便利な機材ですが、電波というデリケートなものを確実に扱うためには、現場の状況、情報がとても重要なのです。
音声機材の中で、特にこのワイヤレスという機材は準備が大切。
ということです。
今回はここまで!
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