こんにちは!
つくしです
今回は、ワイヤレスマイクの設定です。
各メーカーでいろいろな機種があり、形、価格も様々ですが、どの機種でも
- チャンネルを設定して
- 音源にレベルを合わせる
という作業は同じです。
早速、覚えていきましょう。
目次
ワイヤレスの設定1
チャンネル設定
現在ワイヤレスマイクは、
【A型】
470〜714MHz
(ホワイトスペース帯)
1240〜1260MHz
(1.2G帯)
【B型】
806〜810MHz
【C型】
322MHz
【2.4G】
2.4GHz
という区分があります。
この区分の中で、数種類の「グループ」に分けられていていて、このグループの中でさらに数種類の「チャンネル」に分けられています。
この「グループ」と「チャンネル」を、送信機と受信機で合わせることによってワイヤレスマイクとして使うことができます。
主にB型が使われるので、B型の区分で進めていきましょう。
ワイヤレスのチャンネル設定
チャンネル設定の仕方は、
◯◯グループの◯◯チャンネル
という様に設定します。
B型であれば、
1グループの1チャンネルは
→ B11
2グループの2チャンネルは
→ B22
というように表記されます。
B型ワイヤレスは、
806.125MHz
〜809.750MHzの範囲で、
0.125MHz間隔で30波に区分されています。
グループごとの波数は、
B11〜B16 1グループ 6波
B21〜B26 2グループ 6波
B31〜B36 3グループ 6波
B41〜B46 4グループ 6波
B51〜B55 5グループ 5波
B61 6グループ 1波
このように振り分けられています。
また、
連続した周波数に、グループとチャンネルを対応させると、
周波数 MHz | グループ1 | グループ2 | グループ3 | グループ4 | グループ5 | グループ6 | |
1 | 806.125 | B11 | |||||
2 | 806.250 | B21 | |||||
3 | 806.375 | B12 | |||||
4 | 806.500 | B22 | |||||
5 | 806.625 | B31 | |||||
6 | 806.750 | B41 | |||||
7 | 806.875 | B32 | |||||
8 | 807.000 | B23 | |||||
9 | 807.125 | B13 |
10 | 807.250 | B61 | |||||
11 | 807.375 | B33 | |||||
12 | 807.500 | B42 | |||||
13 | 807.625 | B51 | |||||
14 | 807.750 | B14 | |||||
15 | 807.875 | B24 | |||||
16 | 808.000 | B43 | |||||
17 | 808.125 | B52 | |||||
18 | 808.250 | B34 | |||||
19 | 808.375 | B53 |
20 | 808.500 | B25 | |||||
21 | 808.625 | B35 | |||||
22 | 808.750 | B54 | |||||
23 | 808.875 | B26 | |||||
24 | 809.000 | B15 | |||||
25 | 809.125 | B44 | |||||
26 | 809.250 | B36 | |||||
27 | 809.375 | B45 | |||||
28 | 809.500 | B16 | |||||
29 | 809.625 | B55 |
30 | 809.750 | B46 |
このようになります。
送信機と受信機の設定は、【同じメーカ】【同じ型番】が原則です。
2波以上使用する場合、基本的に、
- 同じグループ
- 異なるチャンネル
で設定します。
同じグループ(縦軸)のチャンネルプランであれば混信しないで使える。
ということです。
同じグループであれば、あらかじめ使える周波数がならべてあります。
なので、グループさえ同じであれば、チャンネルを変えるだけで複数のワイヤレスを混信することなく使えます。
次に、
早速応用編です。
(早いですね^^)
ここまで「同じグループで使う」と書きましたが、
そのならびを変えることで、B型ワイヤレスは最大7波使うことができます。
代表的なプランをご紹介しておきます。どれか一つを必ず覚えておきましょう。
プラン1 | プラン2 | プラン3 |
B11 806.125 |
B11 806.125 |
B21 806.250 |
B12 806.375 |
B12 806.375 |
B31 806.625 |
B13 807.125 |
B33 807.375 |
B13 807.125 |
B14 807.750 |
B52 808.125 |
B14 807.750 |
B26 808.875 |
B54 808.750 |
B25 808.500 |
B36 809.250 |
B36 809.250 |
B16 809.500 |
B46 809.750 |
B55 809.625 |
B46 809.750 |
となります。
代表的な3パターンです。
おすすめは1のパターン。覚えやすいですよね^^
代表的な3パターンを紹介しましたが、複数同時使用には法則があります。
- 隣接(隣の)チャンネルがないこと
- 同じチャンネル間隔がないこと
実は、この2点を満たせば混信しないのです。
この点を理解し、周波数表を見てみましょう。
どうですか?
隣接と、同じ間隔がありませんよね。
(ちゃんと戻って周波数表を確認してくださいね)
そして、オリジナルを試してみましょう^^
マニアックなチャンネル設定ですが、とても楽しい?ですよ。
ワイヤレスのチャンネル設定 余談
7波プランは、出演者が多い現場で重宝しますが、報道のような様々なクルーが集まる現場でも活躍します。
報道の現場では、先に到着したクルーに周波数を合わせる。という慣習があります。
この場合、多数のワイヤレスが使われることになるので、MAXの7波のプランを想定しておきましょう。
報道の現場で、円滑に仕事をするコツは、他クルーと協力することです。
その方法は、日々のコミュニケーションより他ありません。
基本的な挨拶から、時間をかけて馴染んでいきましょう。
この点を押さえていると、一番最後に現場に到着して囲み取材が始まっていても、
「◯グループの◯チャンネルが空いてる!」
などや、
「◯時に◯◯で◯◯がある」
などという関係になっていきます。
もちろん逆もあります^^
現場のスタッフを味方にして現場の情報を得ることで、効率よく仕事を進めるようにしましょう。
7波を使うということは、B型の帯域で使える限界ということです。
この状態で他のB型の電波が飛んできてしまうと、すぐに混信してしまいます。
多くワイヤレスを使うということは、混信しやすい。ということを理解しておきましょう。
ワイヤレスの設定2
レベル設定
レベル設定の基本は、想定される最大レベルが割れない(クリップしない)値を設定することです。
経験があれば「このくらい」という感覚がありますが、慣れるまでは低めの設定でスタートしましょう。割れたものは修正できませんからね^^
というわけで、レベルについて少しおさらいしましょう。
ちなみにわかりやすいデシベル(dB)についての記事はこちら。
参考にしてください。
マイクレベル / ラインレベル
マイクレベルは、-70dB〜-40dB程度の弱い信号を指します。
機器により-80dBや-30dBの表記などもあり、それほど明確な数値はありません。
ラインレベルとは、-20dB〜+4dB程度の信号を指します。
こちらも機器によっては-30dB〜などの表記もあり、明確な数値はありません。
このように分類はされていますが、実際の現場ではマイクレベルとラインレベルの線引きは曖昧です。
なので音声信号はあえて分類せず、
-80dB程度の小さな信号から、+4dB程度の大きな信号を取り扱っている。
と考えた方が理解しやすいと思います。
単純に上記の数値を目安に、レベルの設定をする。というわけですが、機器により表記が異なる場合があります。
しかし、その場合も基本的なレベルを理解していることで対応できます。
一つ一つ覚えていきましょう。
ここでは、
【SONY】
WRT-860
(アナログワイヤレス)
DWT-B01N
(デジタルワイヤレス)
【RAMSA】
WX-TB841
(アナログワイヤレス)
WX-DT135
(デジタルワイヤレス)
以上の機材を参考に、基本的な数値を説明していきます。
まず SONY のレベル表記について
RAMSAは-50dBや-60dBなど見慣れたレベルの表記ですね。
しかし、SONYの送信機を見て、
?!
と感じたことはありませんか?
0 3 6 9 12 ・・・・
と3dBステップの表記ですよね。
実はこれ、
0のレベルから+3dBづつ調整。という表記なのです。
ずばりその0の数値は、
0で-60dBです。
よって、
送信機表記 | 実際のレベル |
0 | -60dB |
3 | -57dB |
6 | -54dB |
9 | -51dB |
12 | -48dB |
15 | -45dB |
18 | -42dB |
以下省略 |
となります。
それではスッキリしたところで、入力別のレベル設定を見ていきましょう。
ワイヤレスのレベル設定
ピンマイク(ラベリアマイク)
声の大きさの違いや、ニュースとバラエティといった撮影ジャンルの違いからも、設定レベルの幅が大きい入力と言えます。装着する位置によってもレベルは変わってきます。
SONY
6dB(小さい声)
〜
12dB(大きい声)
RAMSA
-65dB(小さい声)
〜
-50dB(大きい声)
このくらいの設定を目安にしてみましょう。
また、ピンマイク(ラベリアマイク)は胸につけて声を録るだけではありません。
スピーカに貼り付けたり、楽器に装着したり、様々な使い方があるとても便利なマイクです。これらのレベルは、それらの音源に合わせて調整するしかありません。
その場合の設定方法は、低めのレベルでテストし、少しづづ上げながら微調整。という方法で実践していきましょう。
経験を積んでいくと「これくらい」がぴったりくるようになります。
ワイヤレスのレベル設定
ハンドマイク
マイクフォローをして相手の声を拾うことが想定されます。
インタビュアーとインタビューを受ける人とのレベル差が出やすい状況と言えます。
また、インタビューを受ける人数が多くなればなるほどマイクとの距離が出てきます。マイクフォローでレベルの差が大きくなる入力と言えます。
SONY
0dB(小さい声)
〜
3dB(大きい声)
RAMSA
-75dB(小さい声)
〜
-65dB(大きい声)
このくらいの設定を目安にしてみましょう。
ワイヤレスのレベル設定
LINE(ライン)レベル
ホールやイベントの場合、会場のパネルやマルチBOXから音声を出力していただくことがあります。(現場PAさんより)
この場合、その音声をワイヤレスで飛ばして入力することもありますが、ワイヤレスのチャンネルに空きがなく、使うことがでできない場合がほとんどです。
まずこの点を理解しておきましょう。
しかし、
これで終わってしまうと、このLINEの説明ができなくなるので、混信はなし!
ラインレベルをワイヤレスに入力する。ということについて説明します。
ラインレベルと言っても会場やPAさんによってバラバラなんです。
とてもバラバラです^^;
マイクレベルとラインレベルの間、-20dB程度で出力される場合もあるのでレベル設定が難しい入力と言えます。
実際に入力してチェックしてみないと分からない。というのがこのラインレベルの入力です。
具体的な設定は、機種によって違います。
例えば、
SONY DWT-B01N
RAMSA WX-DT135
などのデジタルワイヤレスならば、ライン入力があるので、比較的簡単に送信機のレベルを調整することができます。
それでは、アナログワイヤレスの場合はどうすればいいのでしょうか?
正確には、ライン入力のないワイヤレスです。
この場合、ワイヤレスに入力する方法は3つあります。
- マイクレベルで出力してもらう
- マイクレベルの出力があるポータブルミキサーに入力してワイヤレスに入力する
- PADを使う
①は交渉次第と思いますが、つくしは実践したことがありません。そもそもPAさんにマイクレベルの出力があるか?という不確定要素があります。(曖昧な方法ですいません)
②は最も効果的な方法です。この方法ならレベルの微調整も可能ですし、ポータブルミキサーのリミッター/コンプレッサーを使うことで、安定したレベルを確保することもできますね^^
③はライン出力にPAD(パッド 固定抵抗減衰器)でレベルを減衰させ、マイク入力する方法です。
突発的な過大出力の可能性もあり、PADのレベルの種類や数が試してみないとわからない方法です。
ありあまり推奨はできませんが、ポータブルミキサーを使うより手軽で、PAさんに出力レベルを交渉することがない。という利点はあります。
【例】
-10dBのラインレベルで出力されているところに、-20dBのPADを2つ使った場合。
SONY
6dB〜12dB
RAMSA
-50dB〜-60dB
このくらいの設定を目安にしてみましょう。
【PADとは】
パッド(固定抵抗減衰器)と読みます。
抵抗です。オーディオ信号に、減衰させたい値のPADを接続して使います。
左から 4dB 30dB 20dB の値で減衰します。
以上、
入力別のレベル設定ですが、これらは目安と考えましょう。実際のレベル設定は、現場に合わせて調整しましょう。
関連用語集
2ピース
マイクと送信機が別々になっているワイヤレスマイクの送信機を指します。
よく見るピンマイクはこれにあたります。
コンパンダ方式
最も使われている、一般的な方式です。
コンプレッサ(圧縮)とエキスパンダ(伸張)の造語。送信機でオーディオ信号を1/2に圧縮し、受信機にて2倍に伸張し復元する無線伝送方式です。
圧縮する為、チャンネルが多く取れる利点はありますが、音の再現性は次のリニア方式に比べ劣ります。
この劣化とは、リニア方式に比べてであり許容範囲です。
長所:チャンネル数が多い
短所:リニアに比べ音質が劣る
この記事のB型は、コンパンダ方式で書かれています。
リニア方式
コンパンダ方式に対しリニア方式は、圧縮・伸張を行わず、オーディオ信号をそのまま送受信する無線伝送方式です。
オーディオ信号に処理を加えない為、音の再現性は優れています。圧縮をせず伝送する為、占有帯域がコンパンダ方式より広くチャンネルが少なくなります。
長所:音の再現性が良い
短所:チャンネル数が少ない
トーン信号
受信機が、同機種(同メーカ)の電波か、外来ノイズかを判別する為に、オーディオ信号の中に含む特定周波数がトーン信号です。
このトーン信号は、機種によりON / OFFが可能で、OFFにすることによって異なるメーカー間で送受信が可能になります。
当然異なるメーカー間なので、音質や安定性などを推奨できる方法ではありません。
アナログワイヤレスマイクの方式です。
スケルチ
受信する電波を制限する設定を指します。
前記のトーン信号を含まないオーディオ信号を回避する「トーンスケルチ」や、設定した受信感度以下を回避す「レベルスケルチ」があります。
トーンスケルチは、要するに前記のトーン信号ON / OFFです。
一般的に「スケルチ」というと、レベルスケルチを指します。
簡単に使い方を説明すると、
・送信機と受信機が近い場合
→スケルチをきつくかける
(受信感度を下げる)
・送信機と受信機が遠い場合
→スケルチをかるくかける
(受信感度を上げる)
という設定が一般的です。
なんとなく分かりますか?
大丈夫です。
分かりやすく説明させていただきます。
ワイヤレスを使う場合に一番避けたいのが、その他の電波です。
自分の電波しか受信したくないわけです。
なので、
送信機と受信機が近い状況では、自分の電波が強いので、受信機の感度を下げる(スケルチをきつくかける)ことができる。
こうすることでその他の電波を受けにくい状態になりますね。
逆に、
送信機と受信機が遠い状況では、自分の電波が弱いので、受信機の感度を上げて(スケルチをかるくかけて)受けなければなりません。
この状態は他の電波の影響を受けやすいと言えます。
しかし、仕方ありません。
情報、バラエティなどでは、撮影の流れで遠く離れてしまうことも多々あります。
そういった現場では、あまり神経質にならず、スケルチは一番軽くかけておきましょう。
自分の電波を確実に受ける!
まずこれが何より大切ですからね^^
スケルチの話になると結局「神経質にならず、一番軽くかけておく」となります。
でも、この過程を理解している。ということが重要なのです。
あとがき
今回の設定(チャンネル・入力レベル)は、常に現場で変更があることを想定していなければなりません。
周波数プラン、レベル設定は、事前に想定をしておくと現場であわてることがなくなります。特に周波数プランは、現場で混信した場合にすぐに対応できるようにしておきましょう。
音声は本番が全ての本番部隊です。
そのための準備は、打ち合わせ、スケジュールなどからしっかり現場を把握し、想定外をなくす作業と考えるようにしましょう。
今回はここまで!
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