こんにちは!
つくしです
撮影 = ガンマイク
と言っても過言ではないほどガンマイクは現場に欠かせないマイクです。
このマイクは、その鋭い感度を利用して様々な音の中から必要とする音を切り取って収録することのできるマイクです(長い)。とても便利。
この感度のいいマイクを、ブームと呼ばれる伸び縮みするポールの先に取り付けて使うのですが、うまく使わないと、
「ボコっ」というグリップノイズが入ってしまいます。
ということで今回は、
ガンマイクのタッチノイズ軽減法
目次
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法
最初に注意点。グリップノイズの対処法はいくつかありますが、どれも完全になくなる。という方法ではありません。あくまで軽減ということを頭に入れておきましょう。
主な対処法は、
ローカットフィルタを使う
です。それぞれ見ていきましょう。
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法1
ローカットフィルタを使う
「ローカットフィルタを使う」
この方法が一番効果的で簡単です。
グリップノイズは音の高低でいうと低音になります。
なので、ほとんどのミキサーにはローカットフィルタがついていて、低音を切ることができます。
ローカットフィルタとは、
設定した数値以下の音を切り取って聞こえなくするフィルタです。
ドラマや映画のように、
セリフの音質でそのシーンのイメージが表現されてしまうシビアな録音では、この「どこまで低音を切るか」という数値も考慮しなければなりません。
(もちろん現場だけの判断ではありませんし、すべてのシーンというものでもありません)
しかし、
情報・バラエティ・報道といったジャンルであれば、
音質どうのこうのよりも、まずしっかり情報を伝える(聞き取れる)
ことが大前提です。
グリップノイズがボコボコ入って聞きづらい音になるくらいなら、
躊躇なく低音をMAXで切ってオペレートしましょう。
ENGで使うポータブルミキサーなら、200Hzや300Hzという数値でカットできますよね。
これでかなり軽減できます。
グリップノイズ対策は、まずここからです。
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法2
ソフタイを使う
グリップノイズは機材でもかなり軽減できます。
その対策としてガンマイクのショックマウントはとても重要です。
どう重要なの?
具体的には?
ですよね。
例えば、ウィンドシールド+ハイウィンドジャマーの場合。
この仕様は屋外、特に、強風、雨で使う状態です。
こちらですね、
これを室内で使う場合は、大きさから取り扱いが困難なためハイウィンドジャマーとウィンドシールド(カゴ)を外して使います。
しかし、このウィンドシールド(カゴ)を外した状態のショックマウントは、とてもグリップノイズがのってしまう状態なんです。
この場合、ドラマや映画の場合は必ずソフタイのような室内用のショックマウントに付け替えます。
もちろんその他のロケでは、ウィンドシールド(カゴ)を使わなければならない状況(強風や雨)以外では屋外から室内までカバーできるソフタイがおすすめです。
ちなみに、
SENNHEISER MKH416のソフタイはこちら
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法3
グローブを使う
ドラマや映画の場合、ブームのオペレーターはグローブをつけているスタッフが多くいます。
このグローブはグリップノイズにとても効果的で、つくしもドラマの時ははめていました。
ではどんなグローブがいいのか?
ですよね。
はっきりいって人それぞれで、どれがいいと決まってはいいません。
厚手の皮製で高価なものを使っている人のいましたし、軍手を使い古している人もいます。
ちなみにつくしは軍手派でした。
(よごれたら捨てて新品を使いたいから。という理由です)
では、ENGの場合はどうでしょうか?
ENGを考えると、フェーダーのオペレートやピンマイクなど細かな作業もあるので、厚手の皮の手袋は現実的ではありません。
なので、ENGでグローブを使う場合は、
指の部分が空いているもの
フェーダーワークや細かな作業ができるもの
というわけで、
この見出しのような、100均の薄手の手袋がおすすめです^^
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法4
収録中にブームの長さを調整するために、グリップノイズが最小になる伸ばし方(縮め方)を訓練する
これは、腕力も多少必要ですが、音声さんには必須の体術かなと思うのでご紹介します。
右利きのレギュラースタンス(左手前 / 右手後ろ)で説明すると、
- 両手を上に伸ばした状態のまま、左手でブームのロックをゆるめます
この時はほぼ右手一本でブームを支えている状態です。 - そのまま左手でブームを伸ばし(縮め)ます
- 左手でロックをしめます
ブームのロックは強く閉めすぎないことがコツです。
外す時も閉めるときもスムーズになりますよ。
以上の動作を、
- ヘッドアンプが-55dB
- フェーダーが基準値
という設定で、グリップノイズが最小になるように訓練します。
スタジオのようなすごく静かな場所ではどうしてもグリップノイズが目立ってしまいます。
なので、
現場のベースノイズがある場所を基準として訓練の判断をしましょう。
なれてくればかなり静かに伸ばしたり縮めたりできるようになりますよ。
つくしは通常のENGの場合、
一昔前のvdBというメーカーで、長さは270cmぐらいのブームでを使っていました。腕力はそんなに強いというほどではありませんが、上記の技術はすごく訓練しました(遠い目)。
ガンマイクのグリップ(タッチ)ノイズの軽減法5
「使いどころ以外」をねらってその作業をする
収録された音は全てを使うものではありません。
しかし、コメントの最中などにノイズがのってしまうとそのノイズを使わざる得ませんよね。
なので、
使う音がないタイミングにブームを調整する。ということです。
このタイミングと、一つ前の、「収録中にブームの長さを調整する方法」を駆使して録っていきましょう。
あとがき
「おーい、つくしー、竿鳴ってるぞー」
※竿=ブーム
※鳴ってる=グリップノイズ
つくしのスタートはドラマでした。その時に(新人の頃に)録音部のチーフ(録音技師)によく言われた言葉です。プレッシャーです。
たまに自信があって「そんなことないのにな」と思いミキサーを見てみると……
ローカットの値が0
(えーー!)
このつくしの反応を見てニヤっとし、「これじゃ、録れないか?」と言われることもしばしば。(いや、さすがに0は無理っス)
ローカットをかけない音がいい音。とは言い切れません。
でも低音の効いたセリフなど、現場でできる限りより良い音で仕上げたい。という目標は新人のつくしにもあります。
なので、シビアではない時のローカットオフは、半分冗談というやりとりでもありましたが、「気を抜くなよ」という注意喚起でもありました。
こんな「オン」「オフ」を交えていただきながら、この頃にたたきこまれたガンマイクやブームの丁寧な取り扱いは、つくしの基礎になっていることは間違いありません。
覚えたての頃は、
しっかり自分に厳しい目標を持って訓練し、現場に合わせてその技術を使う。
「言われてではなく、自分で自分に厳しい目標を課す」ことが重要だと思います。
自分で最初からごまかしていたら技術も何も身につきません。何よりその先の「教えること」ができませんよね。
このことを見越して「ローカット0」のプレッシャーを与えてくれてたんだな〜、
と、
今は思います。
今回はここまで!
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