こんにちは!
つくしです
花火が上がる…
清流の流れ…
最高級◯◯牛が鉄板に…
美味しそうなお鍋が……
などと台本に書かれていたら、どうしていますか?
ちゃんとねらっていますか?
この時点では文字ですが、頭の中では音のイメージがありますよね。
ましてや、それらの映像があるのに、音が「ある」と「ない」では大違いです。
なので、使う使わないは別として、これらの音は必ず録るようにしましょう。
台本を読んで、スケジュールを確認したら、このカットはこの音を録る。と決めてしまいましょう。
というわけで今回は、セリフやコメントがないシーン(カット)で録るべき音、
セリフやコメントがないカットで録るべき音、録り方
コメントがないカットで録る音。といってもいろいろあるので、代表的な「録るべき音」を見ていきましょう。
情景・風景
どの作品でもありますよね、
街並みや外観は「特徴的な音」がない限りはカメラマイクでいいと思います。しかしこの場合は、カメラマイクの風防は必須です。使える音になるようにしておきましょう。
自然の風景の場合、鳥や虫、川のせせらぎ、滝、風で擦れる葉っぱの音などです。そのカットに合った音をまずイメージして、その音をねらいましょう。
【録り方】
基本的にカメラ方向にマイクを向けるのですが、そのカットのイメージに合っていれば、カメラ方向にこだわる必要はありません。ねらった音をイメージして、積極的に録りましょう。
また、映像とは別で、音的にいいポイントがあれば音だけをそこで収録しましょう。当然ですが、作品や映像に合う音を録りましょう。
音だけ録っていると「これどこで使うの?」という録音になりがちです。しっかりとしたイメージを持って録りましょう。
どこにメモリーしてあるかを後からわかるようにしておくことが重要です。
グルメ
グルメの場合は、
- 調理シーン
- 物撮り
の音です。
「調理シーン」の録り方
厨房で炒めたりする激しい音から、ハモの骨切りのように繊細な音があります。
【録り方】
激しい音に関しては、カメラマイクで十分です(カメラマイクで録るという判断も重要です)。しかし、繊細な音はガンマイクでねらいます。厨房の広さによってカメラと音声が入れない場合もあるので、確認が必要です。
そしてこの場合、扇風機などの「風」でガンマイクが吹かれなければ、ガンマイクの風防は外してねらうようにしましょう。
理由は、
- 熱(火)によって風防が溶ける
- 繊細な音にできるだけ近づける
- できるだけ機材をコンパクトにする
です。
「物撮り」の録り方
「物撮り」とは、基本的に完成した物を撮影することです。
なので音は……
と思いますが、そのセットでお肉を焼いたり、最後に何かをかけて完成させたりと、美味しそうな音がいろいろあります。
【録り方】
映像はヨリなので、音源にはかなり近づけます。激しめの音でもかなり近づきましょう。
理由として、基本的にお店は、目的音以外の音が多いからです。いくら協力的であっても、なかなか音のために静かにはなりません。
お客さんがいる場合もあるので、うるさい方向にガンマイクを向けず、できるだけ音源に近づいて録るようにしましょう。
ねらい方は、ブームを外し手持ちでねらいます。そして、必ずモニタが見える位置にスタンバイして、映像のサイズのギリギリまでマイクを近づけましょう。(あと座れればベストです)
モニタを見ながらイメージ通りの音の位置をさぐります。
コツとして、この場合の音は意外とレベルが小さいので、ヘッドアンプやチャンネルフェーダーを(予想以上に)上げ気味でねらいましょう。
普段のレベル設定とはかなり違うので、心配になるかもしれませんが、イメージの音に近づけるために思い切って持ち上げてみましょう。
やってみて初めて、「この音って、これだけマイクを近づけて、このレベル設定で録れるんだ」がわかりますよ。
ドラマ・映画
このジャンルのセリフのないカット(シーン)で録るべき音は、先に説明した情景、風景の他には、アクションノイズが主になると思います。
単純に激しいアクションなどは普通に録ると思いますが、それ以外の音もたくさんあります。
台本をしっかり読んでこだわって録ってみましょう。ト書きを読み込むこともポイントです。
セリフ以外の音がしっかりと録れている作品は、臨場感があります。
日常に音がない。という状況はありませんよね。使う使わないは後の話しで、セリフ以外で録るべき音を、まずしっかり台本に書き込んでおきましょう。
ノイズの録り方はこう!
という決まりはありません。
台本を読んでイメージした音を具体化する作業なので、人それぞれです。
しかし、
目的音を効果的に録るには、それ以外の音を排除する。この点は基本といえます。
なのでこの基本を守って録ればOKです。
この、「ドラマや映画でセリフ以外で録るべき音」をあげていくとキリがないので、
「足音の録り方」の一例を、つくしの経験談からご紹介します。
つくしがドラマの現場で新人の頃は、なかなかガンマイクでセリフを録らせてもらえませんでした。
ちなみにこの時代の2時間ドラマで、録音部の構成は、
※外ロケの場合
- 録音技師(ミキサー)
- チーフ(ブームマン)
- セカンド(ブームマン)
でした。
この環境で、(自分だったらこう録る)と考えながら先輩のブームさばきを見ていると、
「このカット、テストだけやってみろ」と言われました。
そのカットは、
「殺人犯が歩いて来て立ち止まり、ニヤリ」
というカット。セリフはありません。
(ニヤリで少しの息づかいがありますね、録るべき音です)
映像は、
歩いてくる犯人の靴のアップ
立ち止まったらPAN UPして顔のヨリ
犯人がニヤリ
という1カット。
どうやって録ろうか考えに、考えに、考えた結果、
- 犯人の右側にスタンバイ
- ブームを下に構え、犯人と一緒に歩きながら靴音を録る
- 立ち止まりカメラのPAN UPを確認しながら下から上へガンマイクを動かし、犯人のニヤリ(息づかい)をねらう
というオペレートをしました。
録音技師は何も言ってくれず、ブームを先輩に渡し本番。
本番の先輩のオペレートは、
- 犯人の左側にスタンバイ
- ブームを下に構え、犯人と一緒に歩きながら靴音を録る
- 立ち止まりカメラのPAN UPを確認しながら下から上へガンマイクを動かし、犯人のニヤリ(息づかい)をねらう
でした。
「やった、ほぼ同じ!できた!」
と喜んで、
つくしの【テストの音】と、先輩の【本番の音】を聞かせていただきました。
……落ち込みました。
つくしの音は使えませんでした。
なぜだと思いますか?
先輩の音は、
遠い川の音と
犯人の靴の音と
ニヤリの息づかい
つくしの音は、
近い川の音と
犯人の靴の音と
もう一人の靴の音と
ニヤリの息づかい
そうです、
録り方に違いは二つ。
- つくしが足音録るために向けたマイクの先には川があり、
先輩のマイクの先には畑があった。 - つくしは靴をはいて足音を録り、
先輩は靴をぬいで足音を録った。
この時に、目的音以外の音を排除して録ることが重要。
ということを教えてもらいました。
まとめると、
ドラマや映画でセリフ以外の録るべき音は、台本からイメージした音。
録り方は様々ですが、基本は目的音以外の音を排除する方法で録る。
ということです。
あとがき
台本を読むと、「このカットはこんな音がはまるな」というイメージがわきますよね。
その音を現場でねらう。ということなんですが、中にはイメージ通りの音が録れないこともよくあります。
また、イメージしても録らない。という音声さんもいるのではないでしょうか。
しかし、
「イメージした音を録る挑戦をして録れない」と「イメージした音を録らない」では、同じ「イメージした音がない」という結果でも全く違います。
そして、
- 挑戦することで、その音が簡単に「録れる音」なのか「録れない音」なのかの判断がつくようになります。
- 挑戦してみて「この音(状況)だったらカメラマイクでもOK(変わらない)」という判断が明確になります
この経験も重要なんです。
必要最小限の技術スタッフで、撮影をスムーズに進行していく場合。音声さん1人の手が空けば他の作業ができます。
照明を手伝ったり……
カメラアシスタントをしたり……
などなど。
当然自分の仕事が最優先ですが、できるクルーは個人のスキルもそうですが、チームワークもいいのです。
カメラだけでも、照明だけでも、音声だけでも、いい作品にはなりません。みんなが少しずつ手伝うことで培われる協力体制が必要不可欠なのです。
なので、
「録れない音」や「録ってもカメラマイクと変わらない」という音の判断ができるようになることは大切で、そのためにイメージした音が録れるかどうか(できるだけたくさん)挑戦しておきましょう。
そうすることで、結果効率よく自分の手を空けることができ、協力体制が構築でき、いい作品につながります。
セリフ以外の音を積極的に録る。という経験値を積むことは、
作品に臨場感を与える効果と、
「その音って、現場で録れる?録れない?」
「ガンマイクとミキサーがないと録れない?」
「カメラマイクでも録れる?」
という判断ができるようになる訓練。でもあるんです。
今回はここまで!
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