こんにちは、つくしです。
旅番組で、初めて出会った流れなのに相手にピンマイクが付いているシーンを見たりすると、違和感を感じると共に少しがっかりします。いくら打ち合わせをして予定通り出演していただいているとしても、旅番組としてこだわっていただきたい点だと思います。
音をしっかり録る。という大前提は、このような条件をクリアして成立する仕事です。
ポジションは違っても、撮影、照明も同じことが言えます。
ピンマイクを隠す状況とはどのような場合?
それは、撮影ジャンルによる場合と、時系列による場合があります。
撮影ジャンルによる場合
演出的な場合を除き、基本的にマイクを見せないことを前提とするジャンルは、
- 映画・ドラマ
- ドキュメンタリー
です。
映画、ドラマに関しては、カット割り〜リハーサルを経るので、ピンマイクを隠して録るのか、ガンマイクで録るのかはその状況次第となります。
ドキュメンタリーは「取材対象に演出を加えることなく、ありのままに記録された映像を編集してまとめた映像作品」と定義されることから、基本的にガンマイクのみの収録方法となります。
しかし、撮影対象者と一定の距離を置く場合や、クルーが近づかないことによって生じる自然な会話や動きを狙う場合は、ピンマイクを仕込む場合もあります。
ドキュメンタリーは撮影しながら構成が出来上がったり、変更したりします。撮影対象者と一定の距離を置く場合、ディレクター用に音声を聞くためのエアモニを用意しておくと便利です。
時系列による場合
撮影台本の時系列で、初めて会った出演者に対してはピンマイクを隠します。主に情報、バラエティー、旅などのジャンルに該当します。
- 出会いからお話〜企画、という流れの場合。
- 出会いシーンの撮影前にピンマイクを仕込み(隠し)撮影スタート
(またはガンマイク) - 区切りのいい状況でカット
- マイクを表に付け替え再開
この段取りなら、出会う前にピンマイクが付いているという違和感がありません。
ピンマイクの仕込み(隠し)は衣擦れのリスクが大きい為、出会いのシーン後、区切りのいい状況でカットしてもらい表に付け替えます。しかし、仕込み(隠し)のピンマイクで問題のない場合。撮影を止めずに続ける場合もあります。
関連用語集
エアモニ
電波を使用し、主にイヤホンで収録などの確認したい音を聞く装置。
衣擦れ
着ている人の動作による、衣装の擦れから発生するノイズを指します。ピンマイクを仕込んだ(隠した)場合は、マイクと衣装が擦れてノイズを発生する状況を指します。セリフ以外の衣装ノイズの総称。
あとがき
ピンマイクを隠す隠さないという判断は、以上のような理由があります。
撮影におけるセオリーや共通認識を知ることはとても重要です。
デジカメ一台で撮影という形態の場合は、それで成立するように撮ります。しかし、複数のポジション、スタッフが関わる場合はそうはいきません。共通認識を持ち合わせることにより、現場の打ち合わせ〜進行も円滑になります。
作品を観た時に違和感を感じるということは、記事冒頭のピンマイクの様に、撮影段階の手法がセオリーと異なった時です。それが起こらないように撮影に関する理論など、定石があるのです。
これらの基本ができる、知っているということは逆もできるということです。様々な映像表現は、基本の応用なのです。
現場で「なぜこの段取りで進行しているのだろう?」という疑問は、今回の様なセオリーに関する理由かもしれません。必ず解決しておきましょう。
今回はここまで!
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