皆さん陸上競技のなかで好きな種目は何ですか?
砲丸投げやハンマー投げのような投てき種目や、走り幅跳びや三段跳びなどの跳躍種目など陸上競技には数多くの種目がありますよね。それらの中でも人気の高い種目といえば100mや200mなどの短距離走ではないでしょうか。
例えば100m走の最短記録保持者は「世界最速の男」と呼ばれるほど、世界中の注目を集める種目です。
タイムが0.01秒を争うこの種目には、タイムを測定するうえで厳格なルールがあります。その一つが「リアクションタイム」です。
この言葉を知っていて、キチンと説明できる人はそれほど多くはないのではないでしょうか。
そこで今回はこの陸上競技におけるリアクションタイムについて説明するとともに、日本の代表選手の例も交えて紹介していこうと思います。
リアクションタイムとはいったいなんなの?
陸上競技のリアクションタイムとは、スタートの音が鳴ってからスターティングブロックのセンサーが反応するまでの時間のことを言います。
100m走などで、クラウチングスタートをする際にスタートラインに足をかける台のようなものを見かけたことはないでしょうか。
それがスターティングブロックと呼ばれる道具です。
このスターティングブロックには圧力センサーが付いていて、スタートの際に足で蹴られた瞬間を検出することができます。
そしてこのセンサー反応までの時間、つまりリアクションタイムが0.100秒未満だとフライングで失格になります。
なぜフライングとなる基準が0.100秒未満なのかというと、医学的に人間が音を聞いてから反応するまでの時間は少なくとも0.1秒以上かかると言われているからです。
つまりリアクションタイムが0.1秒未満だと音を聞く前にスタートしたという解釈になるのです。
しかしながら、このリアクションタイムの「0.1秒」には異論もあり、0.1秒未満で反応する人もいるのではないか?という声も上がっています。
世の中には我々の想像をはるかに超える能力を持った人が多く存在します。そのため、もし医学的な考えを超える能力者がいても不思議ではありません。
また装置によっては選手の重心のかかり方や傾き方にも差があり、これらの誤差によってもリアクションタイムに影響が出るのではないかともいわれています。
いずれにしてもこのリアクションタイムは確実にフライングを見極められるのかというと、100%「ではないのかもしれませんね。今後将来的に、医学的証拠の進歩や科学の進歩により機器が向上されればこのルールも改訂される日が来るかもしれません。
はたしてわたしが生きているうちにどうなるかはわかりませんが……
リアクションタイムがカギとなる!フライングとは?
先述したとおり、リアクションタイムが0.1秒未満だとフライングとみなされてしまいます。
このリアクションタイムがトップ選手になると0.14秒で合格点とされており、0.12秒前後で抜群のスタートとされています。逆に0.16秒以上になると出遅れとされます。
本当に0.01秒の世界ですね。
(2010年からフライングは一発失格へとルールが改訂されました)
2017年には日本の桐生祥秀選手もフライングで失格となっています。
過去には1選手当たり1回までフライングが認められていましたが、2003年から同じ組で1回目のフライング以降にフライングした選手は(1回目にフライングしていない選手を含め)すべて失格となるようにルールが改訂されました。
そしてフライングに対するこの流れはさらに厳しくなり、2010年からは1回目のフライングで即失格となるようにさらに厳格化されました。
このようにルールが変遷していったことの狙いは過去のルールで
「フライングが相次いだこと」
が影響していると考えられます。
1人1回のフライングが認められていた頃は、いわば“保険”がある状態なので、好タイムを狙う選手により、フライングが相次ぎました。
その結果として、中継などテレビの放映時間内に収まらなくなったことが理由だと認識しています。1レースに出場する選手は最大で8人であり、改定前の当時のルールでは、決勝で4~5回フライングが見られたこともあります。また、間をとったり、駆け引きとしてフライングが行われることも多少はあったようです。
いかがでしたでしょうか。
陸上競技においてフライングはよく耳にする言葉ですし、実際に試合の最中に目撃する場面も多いと思います。
このフライングにはリアクションタイムが大きく関係しており、フライングのルールも時代に沿ってどんどん厳しくなっていったのですね。
リアクションタイムを測定する方法や、そのルールもフライング同様、これから変わっていく可能性もゼロではないでしょう。陸上競技の進歩とともにルールや細かい技術の向上にも注目してみると面白いかもしれませんね。
また、リアクションタイムやフライングについて詳しく知っておけば、オリンピックや世界陸上などの世界大会が開催されたときには、ドヤ顔で知識を披露できるでしょう。
今回はここまで!
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